伊藤光湖公式サイト  Mitsuko Ito Official Website

最終更新日 Last updated : 30/8/2012

■ 伊藤光湖 「 2012年東北ツアー 」 に関するレポート /
Report about Mitsuko Ito's "Tohoku Tour 2012" ■

( English text is here. )


2011年3月の大震災の時、私はフランスのパリ市におり、朝のラジオニュースで飛び起きました。それ以来フランスで義援金のためのチャリティーコンサートを行いながら、夏の日本での演奏シーズンを利用して東北に直接演奏の出前をお届け出来ないかと考えておりました。

昨年と同様に知り合いの益田英子様 ( 旅行会社代表 ) にお話ししましたところ今年もいろいろとお取り計らい下さり、 「 カリタスジャパン 」 「 むすびば 」 「 NPO北海道ねおす 」 をはじめたくさんの団体、個人の皆様にお世話になり、今回の演奏旅行が実現致しました。皆様に心より深くお礼申し上げます。


第1日目 - 7月30日 ( 月 )

私たちは 「 東日本大震災復興支援ツアー With ヴァイオリニスト伊藤光湖 」 と称するグループとして午後に札幌を出発し、夕方7:00仙台に向けてフェリーにて北海道苫小牧を
出発致しました。

この度は、現地合流も含めて16名のグループでした。このページの写真、またHOMEページの顔写真3枚、そしてPHOTOページの2012年東北の写真の大部分はツアーに同行された小野崎さんがお撮り下さったものです。


今年は3日間連続1日2回公演 ( プラス急遽1公演追加 ) ということで、一段と体力勝負と
なりました。

第2日目 - 7月31日 ( 火 )

午前10:00仙台に到着致しました。今年は東北地方における移動は全て貸切のバスでした。仙台フェリー乗り場から最初に向かいましたのは、カトリック仙台元寺小路教会です。こちらは東北支援の中心となっている教会で、ご挨拶に立ち寄りました。

その後大船渡カリタスの野上シスターという方と岩手県陸前高田で待ち合わせをしてから、最初の演奏会場である旧広田水産高校グランドの仮設住宅へとご案内いただきました。15:30から 「 集会場 」 のお部屋にお集まりいただいたお客様に第1回目の演奏をお届けすることが出来ました。

演奏会はトークを交えて約1時間です。今回はロンドンのミュージカルでご活躍されたイギリス在住の小野あずみさんが司会を務めて下さいました。

会場に到着する前に 「 道の駅 」 で見た気温表示は 「 35度 」 で厳しい暑さでしたが、演奏会場にはエアコンがあり、快適に演奏することが出来ました。1曲終わるごとにだんだんとお客様の笑顔が大きくなっていったのがとても印象的でした。

伊藤光湖 Mitsuko Ito
 

演奏終了後、手作りのふくろうのついたストラップをプレゼントしていただき、大切にバッグに付けました。 演奏会前後には、ツアーの皆様が現地のお客様とお話ししたりと、交流しておられました。

演奏終了後あわただしく次の演奏会場に向かいました。17:30からは大隈にある仮設住宅前の広場での演奏でした。ここは大自然に囲まれた素敵な空間で、ヴァイオリンの音と共に
一斉にセミが鳴き出して大オーケストラとなり、セミとの共演となったのは忘れがたい思い出と
なりました。

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演奏会後大船渡にあるホテルに向かい、ホテルそばのレストラン 「 うらしま 」 にて夕食を取りました。「 ケセン語聖書 」 を翻訳された山浦先生と、熊谷さん ( 出版社イーピックスの代表 ) もお越し下さり、楽しい交流の一時となりました。

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第3日目 - 8月1日 ( 水 )

この日第1回目の演奏会は岩手県上閉伊郡大槌町の 「 橋野どんぐり広場 」 で行われました。その前に、カトリック大船渡教会、そして山浦医院隣接の山浦先生のご自宅へと立ち寄り、また 「 どんぐり広場 」 を見つけるのにもてこずったりと、演奏開始時間直前の会場入りとなりました。

会場では 「 宝来館 」 の従業員の伊藤さんという方を中心とした皆様が、既に 「 お客様用 」 と 「 演奏者用 」 のテントを貼ってお待ち下さっていました。

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この日も大変気温が高く、よく晴れた日でした。予定通り朝10:30からの演奏です。演奏会場は吹き抜け型のテント ( 壁が無い形 ) で風通しがよく爽やかでしたが、恐らく私の演奏した場所の気温は40度近かったことと思います。

伊藤光湖 Mitsuko Ito 伊藤光湖 Mitsuko Ito

演奏会後、 「 松の根亭 」 の皆様の手作りのお弁当をいただきました。本当にまごころのこもった美味しくて美しいお弁当でした。

食事の後、昨年も素晴らしいお昼ごはんをご馳走下さった 「 山のカフェ 」 のお母さんたちの一人で ( 東北ツアー2011のレポートはこちらです )、この日のお弁当を作って下さったお店の藤原さんという方にご挨拶に伺いました。

1年ぶりに再会出来たのは大きな喜びで、釜石が少しずつ復興して皆様が力強くお仕事を
なさっている様子はとても素敵でした。

その後次の演奏会場で、その日の宿泊場でもある、岩手県釜石市の 「 宝来館 」 に移動しました。途中、伊藤さんが 「 NPO北海道ねおす 」 の拠点として使用しておられる仮設住宅のお部屋を見せて下さいました。

当初予定されていた演奏会は午後3時からでしたが、なんとお客様としてお越し下さる予定だった、女将さんと地域の音楽愛好家が中心となって作っている 「 海の音色クラブ 」 のヴァイオリン教室の子供たちと市民吹奏楽団の方々が熱中症で倒れてしまったとのことで、宝来館の女将さんの希望で急遽 「 海に向かっての鎮魂コンサート 」 というかたちとなりました。

女将さん、岩崎昭子さんのご案内で、宝来館前の根浜海岸にある松林の中の、未だに600名の方が行方不明の海と陸の部分が全て見渡せるスポットで演奏することになりました。

女将さんのお話を伺った結果、発想の転換で 「 それでは600名の方がたにもお客様になっていただきましょう 」 ということで、16:00から海に向かっての明るいトークコンサートをさせていただきました。

演奏会中の女将さんの大きな笑顔が心に残っています。

演奏会後、新しく見事に復興した宝来館での素晴らしい夕食をいただきました。食後、ツアーに現地合流された多才多芸な 「 小野ファミリー 」 による見事なパフォーマンスがありました。

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まずはプロのアーティスト小野あずみさんの 「 ういろう売り 」 の口上の実演、北星学園大学の教授、小野有五さんのよる落語 「 寿限無 」、そして宝来館の女将さんをモデルにして札幌の方がたが作られた紙芝居の小野妙子さん、あずみさんによる実演でした。女将さんもご一緒下さり、大変喜んで下さいました。

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大変快適な宿泊、豪華で心のこもったお食事、女将さんの奇跡的なお話し、そしてわざわざ取れたての 「 いか 」 やその他の差し入れなどまでお心遣いいただき、宝来館の皆様、本当にどうもありがとうございました。

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第4日目 - 8月2日 ( 木 )

この日は岩手県釜石の山田町にある 「 公民館小ホール 」 で演奏会がありました。まちに入ると放送車による 「 本日午前10時30分より公民館小ホールでヴァイオリンの演奏会があります。」 のコマーシャルが聞こえてきて、町中に宣伝して下さっていることがわかりました。

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こちらの会場もしっかりとエアコンが効いており、かなり涼しい演奏会となりました。どの会場でもそうでしたが、こちらのお客様の笑顔は一段と印象的でした。

演奏会後宮古に移動し、まず次の演奏会場 「 リアス亭 」 に行きました。私は会場に残り、ツアーの皆様は各自昼食となりました。

ここではツアーの方が入り口に立って通行人の方に声をかけて下さり、演奏会のご案内をして下さいました。

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演奏会後、なんと昨年もお聴き下さったというお客様とお話しすることが出来ました。昨年宮古の 「 マリンコープDORA シネマリーン 」 という会場で演奏させていただいた時にもお越し下さったそうです。

昨年もそうでしたが、どの演奏会でも演奏中にお客様が別世界へ行っていらっしゃるような
「 にこにこした表情 」 に変わって行かれる様子に、こちらの方が感謝の気持ちで一杯になりました。お忙しい中ご来聴下さった皆様、どうもありがとうございました。

演奏会後、数時間かけて岩手県二戸にある 「 侍の湯 おぼない 」 という割烹温泉旅館に向かいました。かなり歴史的な感じの旅館で、座敷わらし目撃情報コーナーも充実した味わいのある旅館でした。こちらも素晴らしい夕食、そして温泉をいただきました。

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第5日目 - 8月3日 ( 金 )

快適な宿泊を終えて出発する1時間前に、急遽 「 侍の湯 おぼない 」 の従業員様のためのスペシャルサプライズコンサートを開催することになり、慌ててロビーでの演奏となりました。ツアーメンバーの一人が従業員様があまりの忙しさに外出する時間もないとのことを聞いて、私に演奏をプレゼントすることを提案して下さったのです。

すぐに出発しなければならなかったのでドレスに着替える時間がなかったのが残念でしたが、突然の演奏にとても喜んでいただけたようでした。

演奏会途中、「 わたしがここの名物、座敷ばさまです。綺麗な音に引かれて寝床から出て来ました。」 といって、大女将がはじめて出ていらっしゃいました。

開口一番、「 世界中の人たちにこの音を聴かせてあげたい。亡くなった方たちにも聴かせてあげたい。この音を聴かずに亡くなった方に、このことを伝えなければならない。」 と感激された様子でおっしゃったことが大変強く心に残っています。

お土産に 「 わらじ 」 をプレゼントしていただきました。ミニチュアの方はバッグに付けました。 その後 「 あつかましいお願いですが、手っこにぎらせてくだせぇ 」 との大女将のご要望にお応えしながらもあわただしく八戸のフェリー乗り場に向けて出発しました。

今回のツアー中、ずっとバスを運転して私たちにお付き合い下さいましたひまわり交通の渡辺運転手さん、本当にどうもありがとうございました。

13:00出発のフェリーはさほど人が多くなく、ゆったりと時間を過ごすことが出来ました。22:00に北海道苫小牧に到着、その後全員無事に札幌に戻りました。

このツアーでお世話になりました全ての皆様、そして同行された皆様、本当に
どうもありがとうございました。




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