伊藤光湖公式サイト  Mitsuko Ito Official Website

最終更新日 Last updated : 9/10/2011

■ 伊藤光湖 「 2011年東北ツアー 」 に関するレポート /
Report about Mitsuko Ito's "Tohoku Tour 2011" ■

( English text is here. )


2011年3月の大震災の時、私はフランスのパリ市におり、朝のラジオニュースで飛び起きました。それ以来フランスで義援金のためのチャリティーコンサートを行いながら、夏の日本での演奏シーズンを利用して東北に直接演奏の出前をお届け出来ないかと考えておりました。

知り合いの益田英子様 ( 旅行会社代表 ) にお話ししましたところ、いろいろとお取り計らい下さり、 「 むすびば 」 「 NPO北海道ねおす 」 「 カリタスジャパン 」 をはじめたくさんの団体、個人の皆様にお世話になり、今回の演奏旅行が実現致しました。皆様に心より深くお礼申し上げます。


第1日目 - 8月1日 ( 月 )

私たちは 「 伊藤光湖 & あれやこれや隊 」 と称するチームとして午後に札幌を出発し、夕方7:00仙台に向けてフェリーにて北海道苫小牧を出発致しました。

チームメンバーは ( 写真右側より )  : 益田岳翁様 ( 運転担当 )、益田英子様 ( この旅行の代表 )、 佐々木陽子様 ( エプロンシアター担当 )、武田慶子様 ( ナビゲーション担当 )、伊藤淑子様 ( 社会福祉ケアーマネージャー )、そして小野崎良子様 ( カメラ担当 ) でした。このページの写真、またHOMEページの顔写真3枚、そしてPHOTOページの2011年東北の写真はすべて小野崎さんがお撮り下さったものです。

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( メンバーの記事 ブログ


第2日目 - 8月2日 ( 火 )

午前10:00仙台に到着致しました。仙台フェリー乗り場から最初に向かいましたのは、宮城県宮城郡七ヶ浜町にある 「 七ヶ浜中央公民館 」 です。こちらは長い間避難所として使用されていたところで、ロビーには大きくわかりやすいように 「 WC 」 という看板?がかかっておりました。チームのメンバーは演奏会前に付近の仮設住宅をまわり、お話しや演奏会のご案内などをして下さいました。

公民館ロビーでの演奏は午後2:30に始まり、仙台のご当地ソングである 「 青葉城恋唄 」 を含むトークを交えた1時間のプログラムでした。アンコールの前にはけるところがなかったので 「 WC 」 という看板の下にはけましたところ、皆様爆笑しておられました。

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演奏会後海岸付近をご案内いただきました後、車で ( 移動は全て車でした ) 遠野の宿泊所へ向かいました。夕方8:30に着いた頃には真っ暗で、 「 B&B くら乃屋 」 を探し当てるのに大変苦労致しました。ナビゲーターの武田様の大活躍で無事に発見し、快適な宿泊を満喫させていただきました。

「 B&B くら乃屋 」 の朝食はこだわりの食材で出来ており、本当に健康的で美味しい和食でした。洋食の日もあるそうです。お部屋も素敵で、入り口の受付にはテテという名の白い猫が座ってお客様を出迎えておりました。


第3日目 - 8月3日 ( 水 )

この日第1回目の演奏会は岩手県上閉伊郡大槌町の 「 大槌まごころ広場 」 で行われました。

「 北海道ねおす 」 の方々と待ち合わせをして、会場にご案内いただきました。この日は暑さが厳しく、演奏開始が午前11:30であったにもかかわらず、私の控え室であった車の中の気温は恐らく40度近かったものと思われます。チームの皆様はテントの方にいらしたので大丈夫のようでした。

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演奏会場は吹き抜け型のテント ( 壁が無い形 ) で風通しがよく、爽やかでした。たくさんの方にお聴きいただけてうれしいです。私は演奏前は一人で準備するのでほとんど地元の方とお話しする機会が持てず、また演奏会後はお聴きいただいたばかりの演奏に関するご感想をいただくことが多いため、震災当時のお話しを伺う機会がほとんどありませんでした。というよりは、演奏を通して皆様は全く現実とは別の世界に行かれていたようで、その喜びに満ち溢れた表情が大変印象的でした。ある方が演奏会後に仰った 「 生きててよかった。生きていればいいことあるなぁ。 」 というお言葉は恐らく一生忘れないと思います。

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この後次の演奏会場である、岩手県釜石市の 「 カトリック釜石教会 」 に移動しました。演奏会は夕方6:30からでしたが、午後2:00には到着し、休ませていただくことになりました。私は午前中の炎天下での演奏により午後からは激しい頭痛などに見舞われ、くらくら致しておりました。直ちに釜石教会のお部屋を借りて、頭を冷やして横にならせいただきました。教会の方々の迅速な対応のお蔭で回復し、夕方の演奏も無事に終えることが出来ました。お世話になりました皆様、どうもありがとうございました。

私がのびておりました間、隣のホールではエプロンシアターの佐々木さんが大活躍しました。エプロンシアターとはエプロンを舞台とした言わば紙芝居のようなもので、全て手作りの ( 主にフェルトとマジックテープのようでした ) 登場キャラクターや小道具などを次々とエプロンに貼り付けたり剥がしたりしながら、お話しを語るというものです。

夕方には予定通り、演奏会が行われました。このカトリック釜石教会は、震災直後からずっと支援活動の中心として機能しており、各地からたくさんのボランティアの方々が集まっているところでした。

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マックス・エンデルレ神父様をはじめ、お世話になりました皆様、どうもありがとうございました。


第4日目 - 8月4日 ( 木 )

この日は岩手県釜石市橋野町にある 「 橋野へき地保育所 」 で演奏会がありました。この
「 へき地 」 保育所にたどりつくために、見事な山道を移動しました。あまりの蛇行の凄さに皆すっかり車酔いし、目的地に着いた時にはかなりよろよろしておりました。

会場に着くと 「 北海道ねおす 」 の皆様がお出迎え下さり、控え室にご案内いただきました。

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控え室から見渡す景色はまさに自然が一杯で、 「 自然派 」 な私にとっては本当に素敵な所でした。そしてその控え室には椅子やお花までご用意下さり、最高のおもてなしをいただきました。 ( いただいたポプリは大切にヴァイオリンケースに入れてあります。 )

演奏会場はそのすぐ前に設置したテントでした。音響のためにお客様のためのテントと演奏用のテントの距離を近づけていただき、反響板代わりにブルーシートで演奏用テントの側面を覆っていただきました。これによって風通しがなくなってしまいましたが、音ははるかに良くなりました。

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演奏会後は 「 山のカフェ 」 が開かれ、皆で食事をいただきました。 「 すみれの会 」 の皆様の温かく心のこもった美味しいお料理で、その材料はほとんどが手作りの野菜やご自分で採っていらした山菜などでした。お料理の腕がその素材の美味しさを引き立てているのはもちろんのことですが、岩手県釜石市は土地が豊かで本当に食べものが美味しく、自然豊かな素晴らしいところでした。

このような最高のごちそうや心温まる最高のおもてなしをいただきまして、心より感謝致しております。また地元の方からゆっくりとお話しを伺うことも出来てよかったです。ある新聞記者の方によりますと、 「 すみれの会 」 の皆様のような明るい女性が引っ張って下さったお蔭でここまで復興してこられたとのことでした。

チームメンバーの佐々木さんが東北の方々のために作られたメッセージカード2種類をプレゼント致しました。

明るく元気で生命力に溢れる皆様との素敵な時間をどうもありがとうございました。

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午後からは遠野の語り部を聞きに行きました。 「 河童淵 」 などいくつかの民話を語って下さり、興味深く聴かせていただきました。また 「 遠野博物館 」 を見学し、 「 民話の里、遠野 」 を垣間見ることが出来ました。


第5日目 - 8月5日 ( 金 )

快適な 「 B&B くら乃屋 」 での滞在を終えて、午前中にカトリック遠野教会にご挨拶に伺いました。こちらは先日演奏会でお世話になりましたカトリック釜石教会のマックス・エンデルレ神父様がいらっしゃるところです。

その後宮古に向けて出発しました。3時間弱の炎天下で日光を燦々と浴びながらの車での移動後、この日最初の演奏会場である岩手県宮古市の 「 カトリック宮古教会 」 に到着しました。この日はこの夏1番の暑さで、誰も外出しないほどでした。会場到着後、その日宿泊させていただく司祭館にて休ませていただきましたが、私の泊めていただいた部屋の気温がこれまた非常に高く、演奏の始まる午後2:00にはすっかり熱がある状態になっておりました。

あまりの気温の高さにお客様の出足は多くはありませんでしたが、予定通りに演奏会は行われました。立っているだけでも意識がもうろうとする状態でかなりの筋肉痛がありましたが、なんとか無事に演奏することが出来ました。

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夕方6:30からは同じく宮古市にある 「 マリンコープDORA シネマリーン 」 という映画館で演奏会がありました。夕方は気温が下がり、たくさんのお客様にお越しいただくことができました。会場にはエアコンが効いており、お客様も快適にお聴きいただけたようでした。

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演奏会後、宮古教会にてパーティーがありました。これは、演奏会の打ち上げと、今回の宮古での演奏会担当者、佐久間様のお別れパーティーをかけ合わせたものでした。佐久間様の3ヶ月間の宮古におけるボランティア活動で、今回の演奏会が宮古での最後のお仕事だったそうです。現地ボランティアのお仕事、お疲れ様でした。

伊藤光湖 Mitsuko Ito

皆様がすっかり盛り上がったところで、チームメンバーの佐々木さんがエプロンシアターを披露しました。

皆様大喜びで、会場は妙に盛り上がりました。大阪からいらしたボランティアの方々は特に盛大に盛り上がっておられました。



第6日目 - 8月6日 ( 土 )

朝食の場面で、花巻での演奏会の有無を確認しておりましたところ ( 当初話が出ておりましたがそのまま進まず実現しませんでした )、益田さんがご冗談で 「 今からここでシャコンヌを 」 と仰いました。実はこの度の演奏会担当者である佐久間様が大のバッハ好きで、以前私の演奏するバッハの無伴奏組曲の演奏を北海道室蘭でお聴き下さった時に大変気に入って下さったとのことでした。 ( ありがとうございます。) そこで、このしばらく全く練習していない曲を急に演奏出来るものかどうか若干確認した後、下で写真撮影があるということでヴァイオリンを持って降りて行きました。

すると時はちょうど午前8:15、広島の平和の鐘が鳴り響き、1分間の黙祷が捧げられました。この瞬間、私は広島を通して全世界の平和の為にも自分の祈りとして絶対に今バッハのシャコンヌを演奏すべきだと強く確信し、写真撮影後に急遽教会のお御堂をお借りして演奏させていただきました。

詩篇140篇8節 「 主よ、悪者の願いをかなえさせないで下さい。そのたくらみを遂げさせないで下さい。 」 という強い祈りを込めて、演奏させていただきました。大変感動的な時間でした。

マルコ・アントニオ・デラロサ神父様をはじめ、お世話になりました皆様、どうもありがとうございました。

この後仙台に向けて出発しました。チームの他の方々はそれぞれ別にご予定がありましたが、一人花巻へ発った他は一緒に大船渡のカトリック教会や気仙語聖書を印刷しているイーピックス印刷所 ( 津波で被災、その後高台で仕事を再開したばかり ) に立ち寄りました。移動中の道路標識に 「 ただ今の気温 : 36度 」 とありました。その後3名を仙台のフェリー乗り場へお送りし、私は飛行機で千歳に戻るため仙台空港へ送っていただきました。残り2名はそれぞれご家族に会いにいらしたようでした。

その後全員無事に戻ったというご報告をいただきました。

このツアーでお世話になりました全ての皆様、そしてチームの皆様、本当に
どうもありがとうございました。




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