■ 終了(2022年9月9日) ■


「これで遂に、(愛する両親と紡いできたものが)全て、なくなったのだ。」

永遠に薄れることの無い、峻烈を極めた記憶だけを残して。

私たち家族が幸せに暮らしておりました新札幌の実家が火災に遭ってから約5年。家屋解体終了後の2018年6月に売り出した「土地」に関して2022年7月末に急な展開がございまして、7月25日に土地売買仮契約成立に至りました。

土地というのは面白いもので、そこに住む人が生きて来た様々なものと、その土地で過ごした時間や思い出というものが、全くの無意識の中で深くかつ思わぬかたちで結びついているのかもしれません。 以前住んでいた、強い愛着を持つ土地を売却する、という行為は思っていた以上に魂を引き裂かれるような、あまり身に覚えのない激しい虚脱感を引き起こすものでございます。

購入希望者様の融資が通らなければ白紙に戻るはずでしたが、そうとはならず、直前に一度本契約予定日の延期変更依頼はあったものの、本日、本契約と土地の引き渡しを行いました。

結局購入希望者様の家庭の事情に合わせて驚愕の値引き交渉に応じるかたちとなりましたが、それでもこちらが赤字にならずに済んで(土地購入時の価格と比べれば大赤字ですが、この度の支出=すなわち土地相続で司法書士の方にお世話になった登記、家屋解体で生じた『 危険物処理<全焼火災の場合、一般的な廃棄物処分は出来ず全ての家屋解体廃棄物が「危険物処理」となります>』にかかった巨額な家の解体費用や土地の現地調査と測量と境界標、そして不動産会社仲介手数料等=を全てカバー出来て)有り難いと思うことにしております。

2017年6月30日は「マッサージチェアからの自動発火による火災で突然、全てを失った日」となりましたが、この度の土地購入申込から売買仮契約までがあまりに急で、やはり、私にとりましては「愛する家族と強く結びついた大切な大きなものが突然、なくなった日」となりました。とはいえこの5年間、私はもう十分に、あの土地での幸せな時間から(除草作業という精神+身体+集中力持続トレーニング、兼、最高に爽やかな自然を満喫出来るアウトドア・レクリエーション=実際に、あの土地での強化トレーニングと毎日の厳格な食事管理のお蔭か、火災前よりもスタミナ持続時間が格段に長くなりました)たくさんの恩恵を受けましたので、亡くなった両親に感謝です。

土地の「現状のまま引渡し」という条件により本来はこちらで除草する必要はなかったのですが、売買仮契約成立以降も9月までの間、残された最後の時間をいつくしみつつ、幸せに除草作業を行って参りました。毎回思うのですが、あの「誰も見ていないのにもの凄い勢いで生えている雑草の生命力」の力強さには、本当に深い感銘を受けます。

昔、母・龍子が大麻高校に新任になった時、学校新聞の取材で「伊藤先生、好きなことは何ですか?」とインタビューを受けたので「道端や、いろんな庭に咲いている綺麗なお花を見たりするのが好き」と答えたら、その後発行された大麻高校新聞の新任教師の紹介欄に「伊藤龍子先生 担当教科:書道 趣味:花見」と書かれた(まるで宴会で騒ぐのが好きみたいな)ということでしたが、私もこう実家の土地の除草が好きになったからには、いつか何かの紹介に「伊藤光湖 趣味:ジョソウ」と書かれる日が来るのかもしれません。

7月末から本日に至ってもまだ、なんとなく抜け殻というか、「糸の切れた凧」のような <実際に、なぜか体重も数キロ軽くなった上に「伊藤光湖に糸をつけて走ったら飛ぶのではないか」というような(現在"通常マイナス1kg"程度まで回復しましたのでご心配なく)、もともと凧のように薄っぺらい貧相な体型でして> 不思議な感覚が続いておりますが、何より、購入なさった方があの土地に素敵な家を建て、幸せに 凧揚げ kite
暮らしていただくのが、「土地として十分に活用」されるということであり、私がただ自分の多幸感のためだけに空き地として所有し続けるよりは良いことなのだと思います。

ということで、精神的に大きな一区切りを迎えることとなりました。改めて、これまでお世話になりました皆様の温かいご支援・ご協力に、心より深く感謝申し上げます。本当に、長い間大変お世話になり、どうもありがとうございました。わたくし、母(龍子)から良く「極楽とんぼ」と呼ばれていたこの性格のお蔭で、元気に致しております。伊藤光湖はこれからも皆様に「明るく楽しい、元気で健康な」生きた音楽をお届け出来るよう、しっかりと力強く前進し続けるために精一杯弛みない努力を重ねて参りたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い致します。


伊藤光湖


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