伊藤光湖公式サイト  Mitsuko Ito Official Website

■ プログラム、プログラムノート / Programme ■

「 ちえりあ伊藤光湖ヴァイオリンリサイタル2010 」 のプログラムです。
( Programme in English is here. )

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Message
伊藤光湖ヴァイオリン・リサイタルに寄せて
前 PMFボランティア 「 ハーモニー 」 コーディネーター
赤石知恵子

「今年で10年目になり、時の流れの速さに驚いてます・・・」と光湖さんのお母様からの手紙。えっ?!と驚いたのは私の方、リサイタル10年という塊の時間は大きな財産ですね。

国際教育音楽祭PMFに初参加した1993年は光湖さんの視野が外に向けられた瞬間ではないかと想像します。オーディションで選ばれ世界中から札幌に集まった100人を超える仲間が、練習を積み重ねオーケストラとしての音を作っていく過程は若さゆえの情熱、集中力、率直さなのでしょうか?夏の一ヶ月間、真剣に取り組む彼らの演奏には魅力がいっぱいです。

そんなPMFに1997年、2000年と合計3回参加して、今ではパリを拠点に置いて自分を磨いている光湖さんの生活全部が演奏に込められている様に思います。

作曲や編曲も多く手がけ、2002年のレインドロップス・ワルツは屋根工事の手違いで5日間にわたる大変な雨漏りの中で生まれた曲であるとか、2004年のラ・ネージュ(雪)は飛行機の窓から見えたロシア山脈に降る雪の幻想であるとか、誕生秘話を愉快に話してくれましたね。他にも敬虔な思いや、心を飾らずに表現した作品に光湖さんらしさを感じています。今ではアンコールの定番となったグローリー・メドレーもみんなが大好きな曲だと思います。

ヴァイオリニスト伊藤光湖み惹きつけられること、それは伊藤光湖の人間的豊かさでもあって、私はそれを楽しみに客席に座ります。10年という単位、たいしたものです。がんばりましたね、おめでとう!これからも楽しませてください。


Profile
プロフィール

伊藤光湖(ヴァイオリン)

滝川市生まれ。岩見沢東高等学校、京都市立芸術大学卒業後渡英。英国ギルドホール(大学院)、仏パリ・エコールノルマル各音楽院在学中に演奏家ディプロマを取得。ヴァイオリンを北本和彦、岩淵龍太郎、木村和代、イフラ・ニーマン、アントワン・グラー、マリークロード・テュヴニー、デヴィ・エルリ、室内楽をジュヌヴィエヴ・マルティニの各氏に師事。札幌市を中心に開催されている国際教育音楽祭パシフィック・ミュージック・フェスティヴァル(PMF)に1993年、1997年、2000年の3回参加。スイスのジュネーヴで行われているクリスマス・フェスティヴァルで1998年から10年連続ゲストを務め、毎年新作を自作自演。2010年仏マッシーオペラ座管弦楽団ニューイヤーコンサートにてドミニク・ルイッツ指揮、同管弦楽団とショーソン作曲の詩曲を共演。仏クワンシー=ヴォワザン市、モー市にてエリック・ルドイ指揮、モー・フルートオーケストラとメンデルスゾーン作曲ヴァイオリン協奏曲を共演。現在、フランスで研鑽を積む傍ら演奏活動、作曲、編曲等の積極的な音楽活動を行っている。パリ在住。


浅井智子(ピアノ)

新潟県出身。東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。卒業後は、全道各地で、リサイタル、オーケストラとの共演、室内楽、伴奏などの演奏活動の他、各地の学校や美術館、病院、高等盲学校、介護施設等を訪問し、音楽を通じての交流活動を積極的に行っている。また、ニュージーランドでのリサイタル、駐米日本大使館での室内楽演奏会、韓国での日韓音楽交流コンサートの出演など、海外にも演奏の場を広げている。札幌交響楽団奏者、及び、北海道二期会会員のリサイタル、コンサート、CD録音においても、数多く共演。公開講座、公開レッスンの講師や、各種ピアノコンクールの審査員、「JRタワーそらのコンサート」のコーディネーターを務めるなど、幅広く活躍している。現在、札幌大谷大学音楽学部、同短期大学部、同高校音楽科、北星女子高校音楽科の各非常勤講師。札幌音楽家協議会、日本ピアノ教育連盟、日本ショパン協会北海道支部、北海道国際音楽交流協会、モーツァルト・アーベント、札幌室内歌劇場の各会員。


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Programme Note
プログラムノート
解説 : 伊藤光湖

グリーグ : ソナタ第3番 作品45

ノルウェーの作曲家グリーグは3曲のヴァイオリンとピアノのためのソナタを作曲した。これら3つのソナタは作曲家自身が語ったように彼の発展の各時期を表しているが、第2番から約20年を経て書かれた第3番は、ロマンティック・ヴァイオリンソナタの中でもとりわけ多くのヴァイオリニストの主要なレパートリーとなっている。力強く劇的に始まり積極的に流れる第1楽章。第2楽章は大変美しいノルウェーの歌をまずはピアノが、そしてヴァイオリンが歌う。第3楽章は展開部を持たないソナタ形式で、ダイナミックなリズムとヴァイオリンの溢れるような歌が圧倒的な力強いハ短調の終結へと押し進む。

ショーソン : 詩曲 作品25

ショーソンは初め法律を学んで弁護士になったが、後にマスネーやフランクから作曲を学んだフランス近代の作曲家ある。その代表作が「詩曲」で、ツルゲーネフの小説から霊感を受けて書かれたものである。神秘的な中にも気品と情熱に満ち溢れた、ヴァイオリン音楽の傑作である。

伊藤光湖 : レインドロップス ワルツ

2002年11月に屋根工事の手違いにより私の部屋に5日間に亘る大変な雨漏りが発生し、半ば頭が変になった時突然生まれた。短いピアノの前奏に続きまず8小節のテーマ、そして4つの異なる旋律が表れる。曲の書かれた時の悲惨な状況とはかけ離れた明るい曲となっている。

ラフマニノフ : ヴォーカリーズ 作品34−14

19世紀モスクワ楽派の正統を受け継ぐラフマニノフの多くの作品は、ロマン主義の影響を色濃く残している。「ヴォーカリーズ」は母音のみで歌われる歌曲が原曲であるが、弦楽器で演奏されることが多い。

伊藤光湖 : アネクドット(小さなお話)第6番

2009年の9月にプラネタリウムと札幌の夜景を見た時、どちらも光の宝石をちりばめたように美しかった。この曲は目からの印象よりも、その時の静かな感動を音にまとめたものである。(2009年10月作曲)

サラサーテ : カルメン幻想曲 作品25

スペインの巨匠サラサーテによる「カルメン幻想曲」は「ツィゴイネルワイゼン」と並ぶ代表作で、ビゼー作曲のオペラ「カルメン」の、主役カルメンに関連のある旋律を素材とした幻想曲である。最終幕への間奏曲である「アラゴネーズ」の旋律による序奏、「ハバネラ(恋は反逆する鳥)」による第1部、取調べ中にふてぶてしく口ずさむ歌による第2部、刑務所に入れられる前に逃がしてもらうためジョゼ(ドン ホセ)を誘惑する歌による第3部、そして情熱的なジプシーの歌による第4部から成り、全体を通してヴァイオリンの超絶技巧が最大限に発揮されるよう書かれた大曲である。 本日使用する楽譜は第1部は一般的な編曲、第4部は伊藤のアイディアによる編曲版である。
  


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